4月13日に開催された「近代デンマークの精神を学ぶ」の懇談会で、2年前に行った北インド、ヒマラヤ山脈にあるラダックでの体験をお話すると、とても興味を持っていただきました。
このブログにもその時の体験を綴ってきましたが、とても大切に取っておいた教育、コミュニティー関連のものが、まだアップしていなかったので、ここに掲載していこうと思います。
ヒマラヤの乾燥砂漠地帯に、セクモルSECMOL(The Students’ Educational and Cultural Movement of Ladakh) というイノベーティブな共育機関があります。
そこでは、3つのHを柱にラダック中から来た若者たちが学んでいます。
3つのHで学ぶ セクモル
in ラダック
3つのHとは、この図にあるように
賢い頭、器用な手、やさしい心
(一緒に生活し、役割を交代しながら、3つのHを使って実践的に学んでいます)
実践的というのは、例えば、土と太陽エネルギーを利用して造った手作りの校舎がありますが(下の写真参照)
その校舎を建築するのに、気象、換気、放熱、ソーラーエネルギーの利用の仕方など、科学や数学を実践的に学んでいくわけです。
ヒマラヤという厳しい自然環境の中、極寒の冬を自然エネルギーを使って暖かく過ごす(外はマイナス15度を建物の中はプラス15度)方法を限られた資金の中で探っていき実現するというテクノロジーは、本当にすごいです。
それ自体が、生きた学び。
それが実現可能となったのは、3つ目のH, kind Heart ーーー思いやりから
みんなが凍えずに暖かく過ごせるのには、どうしたらいいだろうという互いを思いやる発想から生まれた、と設立者であるソノム・ワンシュクさんは言っています。
そこから、一つ目のH-bright head”賢い頭”と二つ目のskilled Hands”器用な手”を使い冬でも暖かく過ごせるエコな建物をみんなの力で完成させたんですね。
電気は、ソーラーエネルギーのみでまかなっているようでしたが、それを管理するコントロール室での制御の仕方なども全員が順番で覚え、管理しているようです。
その他、調理、農業、酪農、放送など。
ここで生活すること自体が学びとなっているんですね。
社会に出る前に、事前の体験として、敷地内で取れた果物をジャムにして、町に出て売ってみるというようなこともするそうです。
様々なことを身につけることができるんですね。
ここからラダックの教育関係の大臣になった人、映画監督になった人など、それぞれご自分の道を開かれ、社会的に活躍する人が出て来るのも不思議ではない気がしました。
この学びの場、セクモルSECMOL(The Students’ Educational and Cultural Movement of Ladakh) 設立の発端となったのは、
1988 年ラダックの数人の若者達が始めた教育改革運動でした。
それは ソノム・ワンシュクさん(2016年雪解け水を利用して人口氷河を作りローレックス賞受賞)が、試験に不合格になった子どもたちに勉強を教えることがきっかけとなり、始まったのです。
彼は、上達している生徒が、まだよくわかっていないの生徒に教えるというやり方で、教えてもらった生徒たちはもとより、上達している生徒たちも、より多く、深く学ぶことができるというコーチング・システムを確立したのです。
子ども達の瞳がキラキラと輝きだし、活き活きとしてくる様子をワンシュクさんは講演の中で うれしそうに語っています。(彼の講演もセクモルのことも、英語ではありますが、YouTubeでいくつも見られます。)
以後、ラダックの教育システムの抜本的な改革を、地域住民を巻き込んで始めることになりました。 運動は、地域住民、そして政府を動かし、ラダックの教育に劇的な変化をもたらしたものとなりました。
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